Hiroaki Kato Interview (Japanese)

(Interview by Mukudori)

EARLY CROSS Hiroaki Kato氏のロング・インタビュー。
先日発表されたばかりのクリスマスシングル「December’s Cross: Cupid」についてや、Hiroaki氏の音楽的背景、”現在”のバンドやメンバーに対する愛情などじっくりと話を聞かせてもらった。
世代もジャンルも国籍も既成概念の壁を壊し、Landscape Rockを奏でるHiroaki氏とのインタビューは、気取ることなく終始和やかで、ただただ音楽に魅せられた、純粋な一人の少年のような目をしつつも、内に秘めた熱い想いを語るのが印象的だった。

ーこんにちは。
EARLY CROSSの新しいクリスマスシングルがリリースされましたね。リリースおめでとうございます。
毎年恒例のリリースとなってきて、楽しみにしているファンの方も多いと思います。音源を聴かせていただきましたが、今回も素晴らしい出来でした。
Hiroakiさんに何度かインタビューしたいとお話していたのですが、毎回はぐらかされてしまって、今回ようやく実現しました(笑)
現在のEARLY CROSSのこと、これまでを振り返る総括的なインタビューになると思います。宜しくお願いします。

Hiroaki Kato (以下H) : よろしくお願いします(笑)

ーまず、Hiroakiさんの音楽的な生い立ちを教えてください。

H : 出身は落花生薫る千葉県で…ってそういうことじゃないですよね(笑)
僕が初めて音楽に出会ったのは3才の時、母親が僕にピアノを習わせたのがきっかけです。
でも先生が怖くて。弾けないと親が見てる前でも手を上げて叱るような先生でした。
今の時代じゃ考えられない(笑)
練習も嫌いだったし、先生も恐かったし、ピアノはあまり好きじゃなかったです。もちろん音色は好きですよ。
レコーディングで鍵盤を弾くようになってからまた触りだしましたけど、簡単なフレーズしか弾けないですね。
ギターは中3の時からかな。テレビゲームばっかりやってた当時、目を大怪我して。大好きなゲームができなくなって。
それで母親がアコースティック・ギターを持ってきて登場、と(笑)
最初は母親のアコギを左で構えて、右手でどこも押さえずにただひたすら開放弦を弾いてました。
なので、僕が音楽やってるのは親の責任でもあります(笑)

ーなるほど(笑) 母強しですね。ギターの話は意外です。Hiroakiさんは右利き用のギターを弾いてますよね?

H : そうですね、実は左利きなんです。幼少期に箸と鉛筆は右に矯正させられましたが、他はほとんど左ですね。
初めてのエレキギターは中学生の時に母親に買ってもらいました。楽器屋に売ってる小型アンプとかメンテナンスグッズがセットのやつ。
メーカーも一流のものではなく、エントリークラスのものでしたが、買ってもらう時に、母親が「左利き用セットは右利き用セットより6000円高いから。」「このままギター続けても左利きの良いギターはポール・マッカートニーが買い占めてる。」とか言ってて(笑)
妙に納得して右利き用のセットをおねだりすることに(笑)

ーそれは面白いエピソードですね(笑) 音楽的影響についてはいかがですか?

H : 僕はメタル・ヘッズです(笑)

ーもう少し詳しくお聞かせ下さい(笑)

H : MetallicaとRush、Peter Gabrielが僕のアイドルですね。
Metallicaは中学生の時から大好きです。Rushはもっと後かな、高校生くらいの時に。Peter Gabrielはもう少し後に「So」に出会いました。全て衝撃でしたね。

ー特に思い入れのある作品とかあれば教えてください。

H : Metallicaは「…And Justice for All」です。墓場までアルバム1枚持っていけるのであれば、迷わずこのアルバムを持っていきます。でも、アルバム1枚持っていけるスペースがあるのであれば、目一杯作品を詰めたiPodを持っていきたいです(笑)
Metallicaに関してはもう自分の中では神様みたいな存在で、賛否両論分かれるような作品も含めてどれも好きですね。そんな好きな作品中でもダントツで好きなのが「…And Justice for All」ですね。
毎年自分の誕生日には0時ジャストからこの作品を部屋でじっと聴くという恒例イベントがあるのですが…ってこの辺にしておきます(笑)
Metallicaに関しては同じシングルでもUK盤とUSA盤と日本盤を買うくらいのレベルなので、もはやビョーキです(笑)
今までMetallicaがしてきたことが全て正しいと思っていて、この先Metallicaがすることも全て正しいんだとどこかで思っています。
Rushについても、どの作品も好きですが、つい聴いてしまうのは「Signals」でしょうか。
「Moving Pictures」までのRushも好きですが、以降のRushの方が興味深いことをやっていると思います。
あと自分の中で影響を受けたアーティストといえばIron Maiden、Mercyful Fate、Fates Warning、Black Sabbath、Rainbow、Van der Graaf Generator、Dead Can Danceとかですかね。今ぱっと思いつくのは。あ、あとTom Waitsも大好きです。

そしてルーツとして自分の中を大きく占めているのがスラッシュ・メタルです。
Metallicaから他のBig4(Metallica, Slayer, Megadeth, AnthraxのことをBIG4と呼ぶ)、Exodus、Voivod、Celtic Frost、Dark Angel、Cyclone Templeとか。

ースラッシュ系がルーツとは意外ですね。プログレがルーツだと思っていました。

H : スラッシュ・メタルは疲れて帰宅して風呂に入るようなものですね。
ある意味自分が一番リラックスできる音楽というか、自分が純粋でいられるというか。
Exodusの「Fabulous Disaster」なんて、あのリフで全身ツボ押しマッサージをされているかのような心地良さですよ!
あと外せないのはドイツのParadoxですね(笑)

ーその表現は面白いですね(笑) 先ほどそれらのアーティストと並んでさりげなくVan der Graaf Generatorの名前が出ましたが(笑)

H : Van der Graaf Generatorって、自分の中ではそこまでプログレっていうイメージで聴いていないんですよ。どちらかというとパンク、むしろスラッシュ・メタルの原型の一つなんじゃないかなと思っています。「Vital」なんてスーパーヘヴィですよ。
そこらへんのヘヴィロックと言われるバンドが束になっても叶わないくらいのヘヴィさと狂気があると思います。詩的にアジってくるPeter Hammillの表現も超刺激的です。

ーYes、Genesis、King Crimson、Pink Floydあたりのプログレについてはどう思いますか?

H : プログレとカテゴライズされてるアーティストの中ではRushが一番自分の人生を変えたバンドではあるんですが、所謂プログレが好きな方達から見たらRushってちょっと違うんじゃないかなって思うんです。イギリスじゃないし(笑)
その4つのアーティスト、本来はそこにEmerson, Lake & Palmerも入ってくるのかな、それらのアーティストはどれも素晴らしいと思いますし、後世に継がれるとんでもない作品を残していますよね。Pink FloydはEARLY CROSSで過去にカヴァーしたこともありますし、King Crimsonも言うまでもなく素晴らしいです。ただ、YesとGenesisに関しては僕は全くと言っていい程通ってなくて。
そこまで熱心じゃないかもというか、あまり詳しい方ではないので、たまたま出会ったもの、自分の気になったものを搔い摘んで聴くというレベルです。どちらかというとフォークの方が熱心に漁っているかもしれません。

ー気になったものというと、例えばどのような?

H : プログレはJethro TullとかCaptain Beyond、Museo Rosenbach、Kestrelとかですかね。あとプログレというか自分の中ではオルガンロック!という感じなんですが、Beggars Opera、Gracious、 Høst、Indian Summerとか。Cressida、Asokaあたりも良いですねー。

ーかなりマニアックなバンド名が出ましたね(笑) フォークに関しては近い将来Webの方で特集しますので今度じっくり聞かせて頂くとして、今出た中でもJethro TullやKestrelを除いて、ヘヴィなバンドが多いと思います。プログレというとシンフォニックロックのイメージもありますが、あまりお好きでないんですか?

H : うーん。そうですね、好き嫌いというのはないですが、あまり糖度が高いのは選ばないかもしれません。まだ塩気の強いものが好きなのかな(笑)
もう少し大人になったらその良さに気付けるのかもしれません。気品のある和菓子のようなイメージというか。
あとプログレといったらBeatlesの「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」は避けては通れないですよね。本当に名盤です。

ーなるほど(笑) 興味深いですね。先ほどPink Floydを過去にカヴァーしたことがあると伺いましたが、EARLY CROSSの音楽を聴いていると、Pink Floydのような壮大な音風景と、David Gilmourのようなギタートーンが聴こえてくるので、Pink Floydのカヴァーはバッチリハマりそうですね。一度見てみたいです。

H : ありがとうございます。またやる機会があればやりたいですね。でも、David Gilmourのようには弾けないですよ(笑)

ー楽しみにしています!ギタリストの話が出たので、好きな、もしくは影響を受けたギタリストがいれば伺ってもいいでしょうか?

H : ギタリストとして一番影響を受けたのはRushのAlex Lifesonですね。もう、カナダのトロントに足向けて寝られないです。
Rushと出会う前もカッコ良いなと思うギタリストもいたし、コピーしたりしていたんですが、Rushの”Cygnus X-1”を聴いた瞬間(指をパチンと鳴らして)「これだ!」と。理想のギタリストだ、と。
あのキャラクターも含めて大好きですね。彼がいなかったら今のEARLY CROSSはないんじゃないかな。
本当に過小評価されていると思います。もっともっと評価されるべきギタリストだと思います。
あとRitchie Blackmoreですね。Rainbowの時のリッチーは自分の中では神懸かってますね(笑)
次にMercyful FateのHank Shermann。素晴らしいリフメイカーです。実は結構影響を受けています。EARLY CROSSの1stアルバムの「Pathfinder」に”Cry Havoc”という曲がありますが、この曲はMercyful FateとKing Diamondから影響を受けた…というか、最初から頭にありました。
そして、The PentangleのJohn Renbourn。先頃旅立ってしまったのが本当に、本当に残念です。まだ教わりたいことがたくさんありました。最近John Renbournのレッスンを受けていたイギリス人と知り合って、彼の話を色々聞いているところです。
あとはMarillionのSteve Rothery、ConceptionのTore Østby、FocusのJan Akkermanなども好きですね。

ーEARLY CROSSの音楽からRushの影響は感じることができますが、今挙げられたギタリスト達からの影響を消化して独自のスタイルにされているというか、浮遊感のあるコードワークに情感たっぷりなソロと、最近あまり聞けないタイプの個性的なギタープレイだと思います。
それにHiroakiさんはいったいおいくつなんですか?と疑いたくなってしまうような名前が出ていますね(笑)

H : ええと…何と言ったらいいのか分かりませんが、素直に嬉しいですね。ありがとうございます。
でも自分は良いギタリストだと思っておりませんし、「ギタリスト」なんて自分で言うのが少し恥ずかしくて。「ただのギター弾きです」という感じです。結局意味は一緒なんですが(笑)、僕の中ではニュアンスに違いがあります。もちろんプロフィールにはギタリストと書かなきゃなと思ってますが、たまたま表現のツールというだけで、胸張ってギタリストって言うのはちょっと恥ずかしさがありますね。さっき話した先人達が全部マニュアルを用意してくれたから、今こうして弾けているだけですから。どちらかというと曲を書いたりアレンジする人っていう感覚です。

ー謙虚ですね。ギター弾きとしての魅力の他にも、作曲家としてのHiroakiさんに魅了されているファンの方も大勢いると思います。
EARLY CROSSの楽曲は、メロディーのキャッチーさ、それを紡ぐ各楽器の絡みが絶妙なバランスで、陰と陽を行き来するような独特の雰囲気を作り出していると思いますが、曲を書く上で、幼少期からピアノをやっていたこと、音楽的教育を受けたことは影響していると思いますか?

H : ありがとうございます。
自分も何か一つカラクリでもお伝えできればいいのですが、残念ながら音楽理論も知らなければ、ギターのスケールなんてわからないですし、全てヘッドアレンジです。
ピアノが嫌になって辞めてからは反動で楽譜も読めなくなってしまったし、鍵盤奏者のPazzyさんとどの音がどうとかそういう話になる時に上手く説明できなくて困ってしまう程です(笑) ギターを押さえて「ここCですかね」とか言ってます。メジャーとかマイナーとかも言わずに。迷惑かけてると思います(笑)
相方ギタリストのHagiの方がそういう理論は詳しいと思います。彼から教わることもありますし。

ーそうなんですか!それは意外ですね。ヘッドアレンジと言いますと?

H : 曲を書く時に複数の楽器が同時に頭の中で鳴っているという感じです。全ての楽器が鳴っている時もあるし、後から実際に楽器に触って足していくこともあります。
ギターではなく、ピアノで指一本押さえるところから書いた曲もあります。

ー急に曲が降ってくるということですか?インスピレーションなど何かキッカケが?

H : 画や写真を見てインスピレーションを得ることが多いです。楽器を触りながら書くこともありますが、まず視覚的にインスピレーションを得てから書き始める事が多いように思います。
人との会話、例えばメンバーとの会話だったり、長年の友人でもあり、「Pathfinder」の制作でコ・プロデューサーを務めたRyota Omachiとの会話だったり、アートワーク全般を手がけてくれているTakashi Miyamoto氏との会話だったり。
人との会話にインスパイアされることが多いですね。
アートを追究している人達や、もしくは異業種、他の畑の方達の興味深い話を聞いている時に刺激を受けてインスピレーションやモチベーションに繋がるかもしれません。

ー大変興味深いですね。人とのコミュニケーションは表現においても重要なんですね。

H : 僕はコミュニケーション能力が低い方なので(苦笑)、本当に打ち解けるのに少し時間がかかるのが難点ですが。
答え忘れてましたが、曲が急に降ってくることも結構ありますね。お風呂で急に思いついて、頭がシャンプー泡まみれの状態で急いで出てiPhoneに録音、とか(笑)
忘れっぽいんで急いで録らなきゃって。

ーこれからも名曲を書いてください。お風呂で(笑)

H : あれれれ、バカにしてます?(笑)
それでは今後は風呂で出来た曲も「湖畔にある別荘のカウチで書きました」って言うようにします(笑)

ーははは(笑) さて、興味深いお話をたくさん聞かせて頂きましたが、冒頭でお話したクリスマス・シングル「December’s Cross: Cupid」のリリースについてもお話を伺いたいと思います。

H : はい。

ー毎年恒例のクリスマスシングル、EPのリリースですが、楽しみにしているファンの方がたくさんいると聞きます。私もその一人ですが、あのクリスマス曲がこんなに大きく化けるのかとか、意外なアレンジが聴けたり、非常に面白い企画だと思います。

H : まず、ありがとうございます。確かにクリスマス音源を楽しみにしている方達がいるというのは僕の耳にも直接入ってきます。
本当にありがたいことです。自分達がただ楽しんでやってることだったので。
この音源のキッカケって、単なる悪ふざけだったんですよ。「何みんなシリアスにやってんの、肩の力抜こうよ」という(笑)
EARLY CROSSのカラーが出たアレンジと、一方普段は絶対にやらないであろうアレンジをしてみたり、ただの悪ふざけです。
でも、そういう遊び心も大事だと思うんですよね。自分の中ではMetallicaの「Fan Can」のようなノリです。

ー悪ふざけにしては凄いと思いますよ。”Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!” (「December’s Cross: Dancer」収録)なんてジャズピアノじゃないですか。

H : ああーありましたね!(笑) EARLY CROSS至上一番苦労したアレンジです。Yugoのベースプレイもすごくハマっていますよね。
ロックバンドがやっちゃいかんですよああいうことは(笑)

ー現ラインナップになってからの近作「December’s Cross: Comet」、「December’s Cross: Cupid」も素晴らしいです。

H : ありがとうございます。前作の「Comet」はメンバーチェンジがあったので、おフザケは無しで、バンドカラーが強く出たバージョンでしたね。かなり好評でした。Melさんを良い形で迎え入れられたと思います。そして今年の「Cupid」は、10月にEARLY CROSS主催のハロウィンイベント【WItches Return】でフザけたので(笑)、バンドカラーを出しましたが、ちょっとヘヴィでしょうか。

ーあの”Gabriel’s Message”は衝撃でした。ポジティヴな形でのメンバーチェンジだったというのが出だしの一節で分かりました。今年発表の”God Rest Ye Merry, Gentlemen”も早速聴かせて頂きましたが、いきなりMelさんの歌がバーンとくるのがクールでインパクトありますね。アレンジもヘヴィですが、原曲のキャロルの荘厳さはキープされていて。

H : 素敵な感想ありがとうございます。
そうですね、今回はちょっと強めに押し出そうかなと思いました。でも今回はデモの段階であまり自信がなかったんです。
ハロウィンイベントに結構力を入れていたことと、2017年初頭に発売予定のシングルの作業や、私事ですが、その時期に引っ越しがあって、プライベートスタジオを構築するのにも時間が必要で、あまり時間が取れなかったんです。
とりあえず作ってメンバーに投げたというか。録音した完成形は見えてはいましたが、「これでいいのかな?」って思いながら。

ー慌ただしい中での制作だったのですね。

H : でもメンバーのインプットもあって、結果良いものになったと思います。Melさんの歌が入ったら絶対良いことは確信していましたし、他のメンバーの演奏もそうですね。にしても今回KanekoさんのドラムとPazzyさんの鍵盤、凄いでしょ?

ー驚きました。ヘヴィなギターもそうですが、ドラムの存在感も凄いですし、オルガンのソロやオーケストラなど聴き所満載でした。鍵盤がソロを弾くのは初めてのことじゃないですか?

H : そうですね。レコーディング中にいくつかマジックも起こったり、スポンテニアスな制作でした。
Pazzyさんはワイン引っ掛けてオルガンソロをレコーディングしていましたよ(笑)
Yugoもチャレンジしていて、いつも彼は指でベースを弾いているんですが、今回はピック弾きでレコーディングしていました。
Hagiも初めてアコースティックギターをレコーディングしましたね。

ーなるほど。Hiroakiさんは何かいつもと違った点はありましたか?

H : 僕はアレンジに関しては原曲のキャロルの荘厳さは損なわずに、天と地をイメージして作りました。邪悪な音階はこれまたお風呂で思いついたんですが(笑)、メインテーマのメロディは一切変えずにEvilにするっていうことができたのが良かったです。新機軸かもしれませんね。
あとギターソロに関しては、大好きなRitche Blackmore風にしようとしたんですが、レコーディングエンジニアにはEaglesっぽいと言われてしまい(爆)
僕の中ではリッチー風味です。あとセミアコースティックギターを使ってどれだけストラトキャスターっぽい音を出すか、という無謀かつ無駄なチャレンジをしました(笑) ストラトの音を出したいんですがストラトを持ってないんです(笑)
ギターを弾く人は一聴してセミアコで弾いたとは感じないんじゃないかな。

ーそれは面白いですね。お忙しいとはいえEARLY CROSSが今充実していることが感じられる良い制作だったようですね。近年メンバーチェンジがありましたが、ラインナップによって大きく変わったことがありますか?何か話せることがあれば教えてください。

H : (言葉を選びながら)あ、うん。そうですね。えっと、今のラインナップは非常に良い状態なのではないかなと思います。以前より凄くバンドらしくなったと思いますね。大きな生き物になったような感じです。
僕はリーダーとは名ばかりで、特に何もしていなかったですが、今では自分1人でコントロールしようとしてもできないような大きな生き物になってきていると思います。もちろん、良い意味で。
Melさんはバンドに活力を齎せてくれましたし、彼女の表現にはとても刺激されますね。
Kanekoさんはもう10年近くの付き合いですし、お互い全くよそ見をしていてもぴったり合うくらいタイム感が同じなので、お互い笑ってしまうこともあるくらいで(笑)
Hagiは20代半ばで年齢的には弟みたいな存在ですが、気も合うし、プライベートでも家で一緒にご飯食べたりしますしね。
Pazzyさんもライブのみのサポート時から色々お世話になっていますが、今ではもっと深い部分まで関わってもらっていて、とても頼りにしていますね。
今回の”God Rest Ye Merry, Gentlemen”はPazzyさんのインプットはかなり大きかったです。今後ももっと共同制作していきたいと思ってます。
Yugoもそうですね。一見控え目に見えますが、彼程のベーシストは他にあまり知らないですね。本当に器用です。何か選択に迷ったらYugoに相談しています。
もちろん、以前在籍したメンバーとは今でも友人だと自分は思っていますし、たまにメールなどで連絡を取り合っています。
離れた所に住んでいるので、会う機会はなかなかないですが、皆の幸せを願っています。

ーメンバー愛を感じますね。ファンである私から見ていても今EARLY CROSSは凄く良い状態にあるように感じますし、期待しかしていません。この素晴らしいクリスマスシングルの後、来年予定していることはありますか?

H : ありがとうございます。その期待に応えると約束します。
来年はまず”Let It Die (Alea Iacta Est)”というシングルをリリース予定です。
リリースといっても現在シングルをリリースしてくれるレーベルを探しています。
興味を持ってくれた関係者の方、どうぞご一報下さいと記事に書いておいてください(笑)
PlayStation4でリリース予定のゲーム「Let It Die」への提供曲なのですが、ゲームには前ボーカルのElenaさんが歌ったバージョンが使用される予定です。シングルとしてリリースされるバージョンはMelさんの歌でリ・レコーディングされ、その他ギターや鍵盤類もリ・レコーディングされた新しいバージョンとして収録されています。
現在、ノルウェーでChrister-André Cederbergがミックス作業中です。
その後アルバムの制作に入ります。ずっと継続中で曲の断片はいくつか録っているのですが、それらを一つの形にしていく作業ですね。

ーそれは嬉しいニュースですね。アルバム「Pathfinder」をミックスしたChrister-André Cederbergと再び組むことになった経緯は?

H : 「Pathfinder」の音が気に入ったからというのが大きいですね。ヘヴィ・メタリック過ぎるのは嫌で、ヘヴィな中にも暖かみがあってファットなところが気に入っています。
去年の夏にノルウェーに行ったんですが、そこでChristerに会って、スタジオの中を案内してもらいました。「次もやりたいからできたら送ってくれ」って言われたので他の人には頼みにくいなと(笑)
“Let It Die (Alea Iacta Est)”の音もいくつか途中経過を聴かせてもらいましたが、凄いですよ。音に気合いが入ってました(笑)

ーへえ!直接会ったんですね。

H : そうなんですよ。ほぼ日本人みたいなノルウェー人の友人がいるんですが(笑)、彼にスタジオの場所まで案内してもらって。
最近オスロから離れて新しいスタジオに引っ越したみたいですが。

ーリリース待ち遠しいですね。今後の活躍を期待しています!最後に、ファンへ一言、そして一番最近買ったアルバムを5枚教えてください。

H : ありがとうございます!
いつも応援して頂きありがとうございます。Street Teamの皆さんをはじめ、応援してくれる皆さんが力を分けてくれるからこそ、今もこうして走り続けていられています。次のアルバムの準備も進んでいるので楽しみにしていてください!

メリークリスマス!そして良いお年を!

そして最後にそんな質問ですか(笑)
えーと、たぶん
Metallica – 「Hardwired… To Self-Destruct」
Witchfinder General – 「Live ’83」
Devin Townsend Project – 「Transcendence」
Clodagh Simonds – 「Six Elementary Songs」
Tsuumi Sound System – 「Floating Letters」
です。

ーありがとうございました。


クリスマス音源はBandcampよりダウンロードできます。

■ Bandcamp – https://earlycross.bandcamp.com/album/decembers-cross-cupid-special-christmas-ep-2016